ScalaMatsuri運営ブログ

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ScalaMatsuri 2018トレーニングDAYにおけるScalaハンズオンについての調査報告

ScalaMatsuri座長の麻植です。お騒がせしていてすみません。

きょんさんのブログ記事に端を発しまして、Twitter TL上で ScalaMatsuri 2018トレーニングDAYにおけるScalaハンズオンについて2つの疑義が持ち上がりました。 それを受けて、ScalaMatsuriではどのように問題を捉えているか、及び今の改善について、調査と議論をした結果をご報告します。

まとめ

  • 第三者の証言から、ハラスメントには該当しないと判断しました。
  • ハンズオンの進め方については、参加者のフォローと告知について大きく改善の余地がありました。

詳細は以下のとおりです。

1. 初心者に対するハラスメントの有無について

ブログ中で言及されている以下の文言です。

「それでは進捗確認をしましょうか。〜〜まで進んだひとっていますか?おもったより少ないですね。あれーどこが難しいんですかね。〜〜かなー?〜〜って初心者わかってくれないんだよなー。」

こちらの文言は、言い方によっては初心者に対するハラスメントの恐れがある、という指摘がありました。 そこで調査として、当日参加されていたスタッフ外の第三者の証言を複数集めました。

結果として「初心者がわかってくれないこと」に対する何らかの発言はあったとは思われるものの、 明らかに見下している、ハラスメントといえるような口調で言っていたという証言は他にはなく、むしろそのニュアンスを否定する証言が有りました。 結果として、ScalaMatsuri準備委員会としては「ハラスメントとまでは認定しないが、初心者向けのイベントである以上特に配慮が必要である話題であり、その意味において配慮に欠けた発言であった」と判断いたしました。

この点、件のハンズオンのスピーカーに、今後同じような機会があれば特に気をつけてくださるようお伝えしました。 またScalaMatsuri準備委員会としても、イベントの趣旨の上で特に配慮すべき点の意識合わせを、今後スピーカーと行うようにしたいと考えています。

2. ハンズオンの進め方について

調査の結果、件のブログに記載されている通り、以下の問題が発生していたことを確認しました。

  • ハンズオンの実施形式(scala_textを使用する、ドワンゴ社の説明が入る)が分からず、参加者を困惑させることになってしまった。
  • 参加者のフォロー体制に欠けている状態で実施してしまい、結果参加者を放置することになってしまった。

この問題が発生した直接の理由は、以下の通りです。

  • 発表概要がWebサイトに掲載されておらず、実施形式が一切周知されていなかった
  • チューターが不在であった

では何故こうなったのかについてScalaMatsuri準備委員会内で調査と議論を重ねました。

結論として、最も大きな原因は「ドワンゴ社のScala研修を切り出す形でScalaハンズオンしていただける人はいないか」という打診をする際に、実施形式のすり合わせができていなかったことだと考えています。 もっといえば、ハンズオンとScala研修は似ているようで実施形式が全く異なるものである、ゆえにすり合わせを綿密に行わなければならない、という認識がなかったことこそが痛恨の失敗でした。

具体的には、以下のような状況と認識でした。

  • 開催1月ほど前のチケット売れ行きを基に参加人数予測をして講演者一人で賄えるという判断になりましたが、 結果としては参加人数予測を大きく見誤り、最終的にはドワンゴ社が実際に行っているScala研修の倍近い参加者でした。
  • 前述の通り見誤ったことも有り、チューターがいませんでした。本来のScala研修であれば、数人のチューターを置いていました。
  • 本来のScala研修で行っていた、理解度チェックのための参加者レポート提出を実施できない前提で、難易度設定をする必要がありましたが出来ていませんでした。
  • 開催直前まで実施形態が固まらず概要を作成できる状態になっていませんでしたが、実施形態の事前周知が重要であるという認識がありませんでした。

その一方で、研修と違い、ハンズオン参加者は「お金と時間を使って自由参加している」ため、事前案内や期待値のすり合わせがより重要であったように考えております。

今後の反省としては、まず第一に今回の対象となる参加者・時間を基にScala入門に適していると思われるハンズオンを考えるべきでした。 今回トレーニングDAYの初めての開催ということもあり、実績のあるドワンゴ社のScala研修を基に実施する方向で、安易に最初から調整に入ってしまったことが問題でした。

研修を基にする場合には特に、その差について十分理解し、すり合わせるべきと思います。もっといえば、その研修を実施している人にハンズオン形式で実施してみていただく、など、言語化できていない差分をチェックするためのプロセスが事前準備には必要だと感じています。 そもそも作られた目的が違うものを、機能が似ているからと言って安易に流用することで失敗してしまった、という技術選択のアンチパターンにも通ずる状態に陥ってしまった反省があります。

第二の反省は、ハンズオンの内容と対象者を早い段階で告知するべきでした。前述の失敗は、この2つ目の失敗と相まってより深刻度が高くなってしまいました。

もし次回があるとするならば、必ずチューター数名を確保し、受講者へのフォロー体制を拡充した上で、実施形式等の事前告知をするようにいたします。

今回はScalaMatsuri 2018の初めてのトレーニングDAYとして考えても、手痛い失敗となってしまいました。 関係者の皆様、及びご参加され不快な思いをされた皆様、申し訳ありません。次回以降、改善してまいります。また、フィードバックや調査へのご協力をくださった皆様、ありがとうございます。

この件について更なるご意見、ご感想のある方は、ぜひ info[at]scalamatsuri.org までお願いします。ご返信はできないかもしれませんが、一つ一つ確認いたします。