ScalaMatsuri運営ブログ

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私、ScalaMatsuriで転職しました Vol.5 マーベリック株式会社 リチャード伊真岡(@RichardImaokaJP)さん

こんにちは、ScalaMatsuri座長の麻植(@OE_uia)です。

ScalaMatsuri 2020のスポンサー募集を開始します!

2020年5月15日(金), 16日(土)開催のScalaMatsuri 2020に、協賛してくださる企業・組織を募集します。

プログラミング言語Scalaに関する、日本最大のイベントです。技術コミュニティ貢献、参加者へのブランディングや接点作りの機会としてぜひご利用ください。

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私、ScalaMatsuriで転職しました Vol.5

そこで今回は募集開始を記念して、「私、ScalaMatsuriで転職しました」インタビューの第5回をお送りします。

ScalaMatsuri 2014以降ずっと Platinum / 将軍スポンサーとしてご協賛いただいているマーベリック株式会社さんに今年転職された、リチャード 伊真岡さんにお話をお伺いしました。

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リチャード伊真岡(@richardimaokaJP) さん

インタビュー

--- リチャードさんの現在のお仕事や、その他の活動について教えてください。

仕事のタイトルとしては「技術広報」となっていまして、社内向けと社外向け両方の仕事があります。

社外向けでは、カンファレンスでの登壇や技術ブログの執筆をしたりしています。10月のScala関西サミットで登壇させてもらいました。

speakerdeck.com

勉強会は、11月にEventStormingのワークショップを主催しました。 EventStormingの大元の本が実は未完成なんですけど、その未完成のやつがそこそこ読める分量になっていて、その読書会とワークショップをTISの根来さんと前出さんが開催していたんですね。そのワークショップが、付箋をみんなで貼って、わいわいするような感じで楽しくて、その第二回を開催しようと思ったんです。

--- 第1回の様子がTwitterに流れていて、すごく面白そうでしたね。

いやぁ……でもつらかったんですよ(笑) 8時間?ぐらいみんな立ちっぱなしで。8時間は言い過ぎかな?いやでも6時間ぐらいあったと思います。

みんな立って参加した方がいいって、ベストプラクティスとしてその本に書いてたんです。そうしないと議論に参加しなくなっちゃうから。

でもずっと立ってるのは、やっぱりつらいんですよ。最終的には、みんな、こう……

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といって突然立ち上がり、屈伸を始めるリチャードさん

--- あははは(笑)

そこで会場のセプテーニ・オリジナルさんに椅子をお願いして、2回目をやることにしたんです。

techlog.mvrck.co.jp

他にも、マーベリックの宣伝になることは色々やっていきたいと思っています。あと例えばTaPL(型システム入門)の読書会はぜひやってみたい。

型システム入門 プログラミング言語と型の理論 | Ohmsha

社内向けの活動だと、Scalaやライブラリのバージョンアップとかやったりしてます。 現場の人たちは忙しいんでその辺後回しになっちゃいがちなんですよね。あと、ゆくゆくは長期的な技術指針作りに参加して、社内発信できたらなって思ってます。

あとOSSの文脈だと、ブログを書いたり、僕の大好きな動画を作ったりしてます。以前はAkkaにPullRequestを送っていたりしたんですけど、今はAkkaに関する動画を作ったりしていますね。

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Akkaに貢献しているリチャードさん (2019/12/5時点)

あと最近だとChatWorkさんのEventSourcingの動画をつくったり。記事の中身がすごくよくて僕も勉強になったんで、じゃあ動画作ってみようかなって作ってみて、作り終わってから「これ公開していいですか?」って許可をいただきました。

中の人にも喜んでもらえました。もし作って欲しいって人がいたら大歓迎なので、声かけてください(笑)

それ以外だと、Akkaの基礎的な動画をちょこちょこ作りためていたりします。

私も元々Akkaを理解するのに苦労したんですよ。今もAkkaって、学習コストの高いツールだと思っています。色んな人の話を聞いていると、使っているけどわからん、非同期にはよく効くらしいけどよくわからん、って人が多いので、一連のAkka動画をちょこちょこ作りためています。来年の頭までに完成できればな、って思っていますね。

こだわりの動画作り

--- 最近「リチャードさんといえば動画」というイメージを持つ人が増えたように感じています。

いやぁ、動画作りは本当に大変です(笑) Akkaの動画を作り始めて、ようやく最近スタイルが固まってきたと思っています。

そのワークフローが出来上がってみたら、伝統的なものに落ち着いたんですよ。

まず文章でその動画の流れと、ナレーションが入る所を文字に起こします。そして絵コンテのようなものを描いて、絵コンテを描いたら次は静止画です。静止画はいったんイラストレーターで図形を作ります。最後にその図形をAfterEffectsに乗せて、動かす感じです。

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体も動かすリチャードさん

昔は、いきなりAfterEffectsで作り始めてたんですが、手が動かないんですよ。いきなりコードを書くと書けない、というのと同じような感じです。実際コードを書くときも、図を描き、事前調査をし、頭の中が整理されてはじめて、ようやく書き始められるようなところはありますよね。

動画作りもまさにそのような感じで、いきなりAfterEffectsに入ると全く動画が作れなかったので、このように段階を踏むようになりました。ワークフローが出来上がってみると、伝統的な、スクリプトを書いて、絵コンテを描いてという感じになりました。 このフローに合理性があったんだな、というのを再発見しました。

あと動画作りにも、ソフトウェアと一緒で手戻りがあることに気づきました。 後で「これはうまく絵で表現できない」ということに気づいたりします。鉛筆で絵コンテを先に作っているときはこれでいいと思っていたけど、その後にベクター画像を作ってみると駄目だなって。動かしてみたら、なんか違うという感じです。

このように、AfterEffectsから絵コンテに戻る、絵コンテからスクリプトに戻る。最終的にナレーションを入れてみたら、AfterEffectsからスクリプトに戻る、というように、非常に手戻りがあるんです。これはソフトウエアの開発と一緒だということに気づきました。

--- 動画作りに真摯に取り組んでらっしゃるんですね。映像作家です。

はい、映像作家です(笑)

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映像作家 リチャードさん

--- 実際、分かりやすいブログを書く人は、いろんな技術コミュニティにいらっしゃいます。ですが、動画というアプローチを取っている人は、僕はあまり見たことがありません。海外でもあまり見たことがなくて、そういう意味においてリチャードさんはユニークで、非常に面白いなと思っています。

それは半分狙ってしているところもあります。文章を書く人ですごい人はいます。文章のうまさと技術的な知識の量、深さ、それが両方ないと、ウケるブログは書けません。そこで勝負するとなるとハードルが高いです。そうなってくると、動画の人としてアピールするほうがいいというところはあります。

--- 文章にするのは、言語の壁も付きまといます。その点、動画は日本語話者でなくても英語話者でなくても誰でも分かるから、OSSの解説などに向いてそうですね。

そのとおりです。 実際、LightbendのTwitterアカウントでリツイートしてくれることが時々あるので、そこはありがたいです。公式も応援してくれている雰囲気は時々出してくれています。

振り返ってみると、昔から図を描くのはどうも受けが良かったと、個人的に思っていました。 私は最初の会社の証券会社でプログラマをしていましたが、ソースコードを褒められたことは9年間で3回くらいしかなかったけど、図を褒められたことは毎回のようにありました(笑)

こちらのほうが得意な分野なんだと思います。

転職のきっかけ

--- リチャードさんの転職のきっかけは何ですか?

直接の原因は、勤めていた会社が清算されたからです。 Scalaの仕事は続けたかったので、職務経歴書のようなものを先にまとめて、「Scalaができる仕事を探しています」とツイートしました。

そうしたら、ScalaMatsuriでスポンサーしてくれた企業を中心に10社くらい、かなりたくさんの所から声を掛けていただきました。ほぼ全部がScalaMatsuriで知り合った人がいる、あるいはスポンサーしている所など、何らかの形で、少なくとも間接的に知っている人がいる会社ばかりでした。その10社くらいの中にマーベリックもいました。

どこもScalaMatsuriもスポンサーしているくらい、きちんと技術コミュニティーに貢献しようという会社ばかりでした。オファーをもらった他の会社も、開発の体制がしっかりしている所で非常に悩みました。

その中で技術広報という仕事でオファーをくれたのはマーベリックだけでした。マーベリック以外は全部、普通の開発者、プログラマーやサービスの中に入って開発するポジションがほとんどでした。

マーベリックも技術広報というポジションで募集していたわけではなく、もともとテクニックもスキルも十分高い人に、社内のライブラリのバージョンアップなど、こまごましているけど、時間がかかるようなところにアドバイスをもらいたい、というニーズがあったみたいです。

--- マーベリックさんとしても、リチャードさんと出会ったことで、技術広報というポジションを作るのが一番ニーズともマッチしてそう、となったということですか。

そのような感じでした。これが私にとっても非常に良くて、登壇やブログを書くのは増やしたいと思っていました。ただ、仕事をしながらだと全くできなかったんです。それができている人たちはすごい、といつも思っていました。私としてもそういう機会を増やしたかった、会社としてもブログや登壇の機会を増やしたいというのがありました。今は技術広報として、登壇やブログ、イベントを中心にしていくスタイルならできるという感じで落ち着きつつあります。

--- 面白いです。ちょうどリチャードさんがご自身でしたいと思ったところが、まさにマーベリックさんにとってもメリットになるところだったから、ちょうどいい感じに落ち着いたんですね。いい出会いですね。

出会いです。『ラブ・ストーリーは突然に』です。小田和正さんです。

技術広報というチャレンジ

技術広報は当然、手を動かす時間は減る、少なくともサービスの開発には関わらないから現場感がなくなるので、ぎりぎりまで迷いました。 ただ強い人がいる会社に入って、同じレベルでソースコードを書くことと、同じレベルで発信することを両方やることは難しい。そこに行って自分がどこまで学べるか、ということも悩みました。それなら、もう少し発信するところに仕事の比重を置ける所の方がいい、と思ったというのもありました。

これがうまくいったら仕事の幅が広がるかもしれないと思い、チャレンジしてみることにしました。私は弱小生物なので、生き残りを考えないといけません(笑)

--- 生き残りは大事です。

ゴキブリのようです(笑)

--- 何億年も生き残っているので、生存という意味では超勝ち組ですよ。そういう意味ではゴキブリになりたいですね(笑)

Scalaゴキブリですね(笑)

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Scalaゴキブリになりたいリチャードさん

編集後記

技術について発信する場・学ぶ場として開催しているScalaMatsuriは、技術志向の参加者と企業が出会い、良い関係が生まれる場にもなっているようです。

そんなScalaMatsuriへの協賛のお申し込みはこちらです。ご応募お待ちしています。

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